「司祭様。僕たち、明日帰るの?」
時間がすっごくかかるって思ってたのに、お薬は二つともあっと言う間にできちゃったでしょ?
だから僕、これでお家に帰れるねってお爺さん司祭様に言ったんだよ。
でもね、それにお返事をくれたのはお爺さん司祭様じゃなくってバーリマンさんだったんだ。
「それがね、ルディーン君。悪いんだけど、そうもいかないのよ」
「え〜、なんで? お薬はできたんでしょ?」
僕たち、お薬を作るお手伝いのために来たんだよね?
それが終わったんだからもうご用事はすんだはずなのに、何でか知らないけどバーリマンさんは帰っちゃダメって言うんだもん。
だから僕、なんで帰っちゃダメなの? って聞いたんだ。
そしたらバーリマンさんは、まだ僕のお家の事が残ってるからだよって。
「お家の事?」
「ええ。ルディーン君の館は今、改修工事を行っているでしょ? 家具の搬入や壁の補修程度なら管理を任されたロルフさんだけでもいいのですけど、あれほどの工事となると持ち主であるルディーン君の最終確認が必要なのよ」
僕が村に帰ってる間は、ロルフさんが僕のお家の事を見ててくれるって事になってるでしょ?
でもね、それでもあのお家は僕のだから、おっきな工事をした時は、僕がちゃんとできてるねって確認しないとダメなんだって。
「最終確認が終わらないと完成したことにならないから、職人たちもお金を請求する事ができないの。だから申し訳ないけど、あと少しだけ、この街に滞在してもらいたいのよ」
「ん? 待て、ギルマスよ。そのような理由であれば、村に帰っても良いのではないか? ルディーン君ならば魔法でいつでも来ることができるのじゃから」
そんなお話をしてたらね、横で聞いてたロルフさんが出来上がったら魔法で来ればいいんじゃないの? ってバーリマンさんに聞いたんだよね。
だから僕、そう言えばそうだなぁって思ったんだけど、
「何を言っているのですか、伯爵。確かにルディーン君はすぐに来る事が出来るでしょうけど、館が出来上がったという連絡はどうやってするおつもりですか」
「そっ、そういえばそうじゃな」
僕が帰っちゃったら、お家かできたよって誰かが言いに行かないとダメでしょ?
だから帰っちゃダメって言ってるんじゃないかって、ロルフさんはバーリマンさんに怒られたんだ。
でね、その後にバーリマンさんは、もうちょっとだけイーノックカウにいてねって。
それを聞いた僕は、いいよって元気にお返事したんだ。
「職人のおじさんたち、一生懸命お家をなおしたのにお金がもらえなかったら大変だもんね。うん、解った。僕、もうちょっといるよ」
「ありがとう、ルディーン君。今日も工事は続いているし、長くても2〜3日もあれば改修工事は終わるはずだから我慢してね」
「うん!」
って事で、僕とお爺さん司祭様は、もうちょっとの間だけイーノックカウにいる事になったんだ。
「ええ、もうポーションが出来上がったんですか!?」
宿屋さんに帰った僕は、ニコラさんたちが帰ってくるのを待ってみんなで一緒に食堂まで晩ご飯を食べに行ったんだよ。
でね、そこでお薬が二つともできた事を教えてあげたんだ。
そしたらさ、それを聞いたニコラさんはびっくり。
どうやらニコラさんも僕とおんなじで、お薬を作るのにはすっごく時間がかかるって思ってたみたいなんだ。
「ルディーン君たちが作ってたのって、新しいマジックポーションなんでしょ?」
「司祭様。マジックポーションって、そんなに簡単に出来上がるものなのですか?」
それにね、ユリアナさんもアマリアさんも同じようにびっくりしてて、お爺さん司祭様にこんなに早くできるものなの? って聞いたんだよね。
そんな二人にお爺さん司祭様は、みんなが考えてる通り普通だったらすっごく時間がかかるんだよって教えてくれたんだ。
「既存のマジックポーションを少しだけ効果の高いものに改良する事でさえ、本来ならば何年もかかるものだよ」
「そうなんですか? でもそれなら、なぜ今回はこんなに早く?」
「ああ、それはヴァルトたちが、錬金術ギルドの者たちがあらかじめ仮説を立ておったからだ」
今回作ったお薬って、ロルフさんたちがこうやったらできるんじゃないかなぁ? って考えてくれてたやつでしょ?
そりゃあ作る時はちょっと大変な事はあったけど、それがあったから今回はびっくりするくらい早くできたんだよってお爺さん司祭様は言うんだよね。
「1から考えたのではなく、あらかじめ準備を整えて実験をし、過程が正しかったのかを確かめる。今回はその作業であったというのが正解だな」
「なるほど。あっ、待ってください。なら、なぜルディーン君が一緒に行ったんですか?」
こうやったらいいんじゃないかってのが解ってたのなら、ロルフさんたちだけで実験をすればいいよね?
なのに何で僕が行かなきゃダメだったの? ってニコラさんは聞いたんだよ。
そしたらさ、それを聞いたお爺さん司祭様はちょっと困ったようなお顔になってこう言ったんだ。
「ふむ。これは話してしまってよいものか解らぬが」
「えっ! まさか、何か特別に秘密が?」
「ルディーン君の実力や、使えるスキルに関わる話であるからのぉ」
お爺さん司祭様はそう言うとね、僕に話しちゃっていいかなぁ? って聞いてきたんだよ。
「ルディーン君。あくまで話せる範囲だが、君ができる事の一部を教えてしまっても良いか?」
「よく解んないけど、ニコラさんたちだったら何話してもいいよ」
お爺さん司祭様だったら、ロルフさんが教えちゃダメって言ってた事はきっとお話しないって思うんだよね。
それにニコラさんたちは、もうジャンプの魔法の事まで知ってるもん。
あれだってロルフさんは誰にも話しちゃダメって言ってたのに良かったんだから、今からお爺さん司祭様がお話する事だってきっと大丈夫だって、僕、思うんだ。
「ルディーン君の了解を得たから話すが、実を言うと今回作ったマジックポーション。これの原型を作り出したのは、このルディーン君なのだ」
「えっ!? ルディーン君が新しいポーションを作ったのですか?」
「それはどんな?」
僕がお手伝いに行ってた事は知ってたけど、それを母校が作ったなんて知らなかったもんだから、これを聞いたニコラさんたちはびっくり。
僕がどんなお薬を作ったの? ってお爺さん司祭様に聞いたんだよ?
でもね、それは内緒だよってお爺さん司祭様は言うんだ。
「それに関してはまだ話すわけにはいかぬ。しかしこれを聞いたのならば、ルディーン君がポーションを作るのに必要だというのが解るであろう?」
「はい。作った本人なら、そのポーションに一番詳しい人という事ですものね」
「それもある。しかし何より大事なのは、このポーションを作り出すのに必要な能力を、このルディーン君が持っているという事なのだよ」
お爺さん司祭様はそう言うと、僕が今日、何をやったのかをニコラさんたちにお話したんだ。
なんか中途半端なところですが、この話の先を書こうと思うとまだ1話分くらいかかりそうなので今回はここまで。
と言うか、本当はまだ数日間イーノックカウにいるよってニコラさんたちに話して終わるつもりだったのですが、書いてみたらあまりに短すぎたので一度消して本来なら次回の内容を書き始めたところ、今度はこのような変なところで終わる事になった次第です。
そのせいか、中途半端なところ以前に、少しまとまりの無い話になってしまったような気がする。ちょっと反省。